Exhibitions

 

「ラ・クンブレラ」はボゴタから車で約30分、テウサカ川上流域に位置する「エル・ベルホン・バホ(El Verjón Bajo)」地区の自然保護区である。そこには、街の大部分を見渡すことのできる一つの岩がある。耳を澄ますと、絶え間ないざわめきがまるで海鳴りのように聞こえてくる。眼下では都市が息づき、ときおり遠くでサイレンが響く。しかしその音でさえ、この場所の静けさを破る事はない。この場所は、V字型に大きく開いた壮麗な入り口のようでもある。都市と山を結びながら、同時にその境界を示す自然の襞(ひだ)だ。

父はこの場所を冗談まじりに「72-0」(セテンタ・イ・ドス・コン・セロ)と呼んでいた。今、その不思議なほど正確な名前に出会い、私はそれを「すべてに先立ち、静かに見守るもの」として捉えている。それは東外環状道路(シルクンバラール通り)よりさらに山側、ボゴタ東山地の裂け目のような空間にある。その場所は「72番通り」の見えない延長線上に位置し、その軸はまっすぐ山へと伸び、この作品の着想の源となった場所へ至っている。」

  • サンティアゴ・リアニョ


この10月、サンティアゴ・リアーニョは、日本で初となる個展「Seventy Second and Zero(セブンティ・セカンド・アンド・ゼロ)」を開催します。

本展では、世代を超えて受け継がれる写真作品を中心に、さまざまな転写技法を用いた作品や、自然の中から採取した場所由来の陶片を取り入れた作品を展示します。

Artists

サンティアゴ・リアニョ

コロンビア・ボゴタを拠点に活動するアーティスト、サンティアゴ・リアーニョは、「死」を「移行しながらも、なお残り続ける状態」として捉え、その探究を続けています。

物質、記憶、そして内省的なプロセスを通して、彼は「目に見えるもの」と「目に見えないもの」の境界を探ります。作品を、もはやそこには存在しないものとのコミュニケーションの場として捉えながら、それでもなお私たちの前に残り続けるものに向き合っています。

彼は、一般的ではない素材や支持体に印刷したイメージや、摩耗や時間の経過によって変化した素材を用いて制作します。それらの作品は、彼方にあるものの記憶を静かに記録する、繊細なアーカイブのように機能しています。

彼の作品は、物質そのものを存在の「証人」であり、「鏡」であり、「痕跡」として捉える、静かで内省的な体験を提示しています。