Exhibitions

 

GALLERY ETHERでは、2026年4月4日(土)から4月25日(土)の期間にて、ソウルを拠点に活動する韓国人アーティスト、テズ・キム(Tez Kim/1977年生まれ)による日本初個展「ANTIHERO」を開催いたします。

本展は、私たちが普段、無意識のうちに受け入れてきた「善」と「悪」という構造そのものに、静かに問いを投げかける試みです。ここで描かれる「悪」は、明確な輪郭を持つものとして表現されるのではなく、むしろ日常のなかに反復されることで徐々に感覚を鈍らせていく、曖昧で捉えがたい存在として提示されています。

善悪の境界が次第に曖昧になるなかで、私たちは知らぬ間に感受性を失い、繊細な善性や無垢さ、誠実さを感じ取る力を弱めていきます。本展は、そうした感覚の鈍化を丁寧に削ぎ落とすように構成された作品群によって、長らく見過ごされてきた私たちの感受性を呼び覚ますきっかけとなるでしょう。

作品に登場する子どもたちは、英雄的でも完成された存在ではありません。不安定で、脆く、確固たる意志を持たない存在として描かれています。しかし、その未完成な状態のなかにこそ、静かな抵抗の可能性が宿っています。「ANTIHERO」では、過度な主張や挑発に頼ることなく、「私たちはどれほど鈍感になってしまったのか、そしていまなお何を感じ取ることができるのか」と私たちに問いかけます。

Artists

テズ・キム

1977年、韓国・ソウル生まれ。自身の幼少期の記憶を出発点とし、その不確かな性質を受け入れながら、初期体験に残された感情の痕跡を再構築する作品を制作しています。

彼の作品に見られる鮮やかな色彩や、記憶を想起させる粒子状の質感は、それが過去の再解釈によるものなのか、あるいは時間を超えて保存された強度なのかを曖昧に保ちながら描かれています。そこに立ち現れるのは、特定の出来事や転機を指し示すものではなく、言葉では定義しきれない断片的な情景です。

それらは、かつて何気ない出来事に強い感情や高揚を見出していた時間へと私たちを引き戻し、それぞれの心の内側にある記憶と感覚を静かに呼び起こします。

テズ・キムは、弘益大学およびロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)で学び、これまでに国際的なアートフェア、パブリックインスタレーションなどを通じて作品を発表してきました。彼の作品は、個人が本来持つ自由さや誠実さへと立ち返ることを促し、それぞれの「真実のあり方」を見つめ直す契機を提示しています。

https://tezkim-art.com/